MOMClによるOHの保護(クロロメチルメチルエーテル)

概要

MOMCl(クロロメチルメチルエーテル)はOHの保護に利用される代表的な試薬である。脱保護は酸によって行われる。

MOMClは発がん性があるため、必ずドラフト内で使用する必要がある。また、分解により発生する塩化水素にも注意が必要である。

反応機構

①保護

反応は一般的なSN2反応である。

OHのプロトンを塩基が引き抜いてアルコキシドが生成する。このアルコキシドがMOMClに攻撃してSN2反応を起こすことで、目的のMOM保護体が生成する。

②脱保護

 MOMエーテルはアセタールの一種であり、アセタールの加水分解と同じ反応機構で脱保護が進行する。ホルムアルデヒド、メタノールが発生するため、換気の良いところで実施すべきである。

近年における使用例

氷冷したジクロロメタン5 mlに溶解させた原料 150 mg (0.38 mmol)に対し、DIPEA 0.1 ml(0.57mmol、塩基の役割)とMOMCl 40 μl (0.5 mmol)を加え、室温まで昇温し、6時間攪拌した。反応の終了をTLCで確認した後、ジクロロメタン 10 mlと水 5mlを加えて分液。有機層を濃縮し、カラムで精製することで目的物を91%の収率で得た。

氷冷したジクロロメタン5 mlに溶解させた原料 0.28 mmol(文献に数値記載なしのため収率から逆算)に対し、DIPEA 253 mg(2.0 mmol、塩基の役割)とMOMCl 112 mg (1.4 mmol)、Bu4NI 258 mg (0.7 mmol、相関移動触媒として投入)を加え、室温まで昇温し、一晩攪拌。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、ジクロロメタン15 ml ×3で抽出。有機層を濃縮し、カラムで精製することで目的物を92%(0.26 mmol)の収率で得た。

 

※相間移動触媒:水に不溶なものと有機溶剤に不溶なものを反応させるための触媒。

水と有機溶媒の両方に溶解でき、2相間を移動して試薬を運搬する。

試薬価格

※下記は一例です。販売会社、時期、グレードなどによって価格は異なります。

MOMCl(クロロメチルメチルエーテル):100 g / 10,000円程度(CAS:107-30-2)

参考文献

使用例

Org. Lett. 2019, 21, 9, 3372–3376.

Org. Lett. 2015, 17, 10, 2346–2349.

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